南アルプス・鳳凰三山(滝)

五色の滝虹

オベリスクを後にして、鳳凰小屋へ下ります。
一休みをして近くの小道へ行くと、下の方に渓流が見えました。

向かいの山の紅葉が夕日に照らされています。
「紅葉」や「里の秋」を奏でるオカリナの音色が谷間に吸い込まれていきます。
鳳凰小屋

夜、月が昇り、星がまたたき始めます。
澄んだ空に並ぶオリオン座の特長的な星たちに、ひと際、目を引かれました。

翌早朝、ドンドコ沢の4つの滝を目指して山を下ります。
標高2400mの小屋では、明け方冷える時分に3~4度まで下がるそうです。

朝露に光る草。目覚めたばかりの森に、新しい朝の光が注いでいます。

歩く沢沿いの清流の音が、体の中をさらさらと流れいきます。

一つの目の滝、五色の滝。
近づくと、ゴウゴウと水の流れ落ちる音が聞こえてきました。

見上げると青空、周りには紅葉の樹々、岩の割れ目に幾筋もの小さな流れが見えます。
虚空から落ちてくるような美しく迫力のある、見事な滝です。
五色の滝

高さ50mという落差を、途中岩にぶつかりながらも、水が真っすぐに落ちています。
滝の足元あたりには、控えめに虹の光の贈り物がかかっています。

大好きな水の流れと自然の織りなす絶景に、心が喜びました。
あまりに美しい光景に離れがたく、しばし滝の前で憩いの時を持ちました。

名残を惜しみ、振り返るとみるみる雲が昇ってきました。

二つ目の白糸の滝へ。
しばらく眺めていると、それまでかかっていた靄が晴れていきました。

勢いのある水の流れが岩にぶつかりながら、水しぶきを上げ、落ちる方向を変え、沢へと流れ込んでいきます。
白糸の滝

絶え間なく、堂々とほとばしる滝。
沢のわずかな流れから想像もつかない、豊かな水量が、山中を流れていることに圧倒されました。

海の水が雨となって山に降り注いだ水が、滝となって流れ落ちる。
海も山も自然はすべてつながっている。

森林限界を越えた山頂の砂は、砂浜の砂のようにも、沙漠の砂のようにも見えました。

日本の山はほとんどが火山とのこと。
近年、海面が上昇しているように、かつては海底にあった山頂もあるでしょう。
現在の海底も人々が歩いたことがあるのでしょう。

地球の姿は長い年月をかけて変わっている。
人が生きるのは、地球の時間からすれば一瞬のこと。

その一瞬、人は自然の美しさを五感で感じる喜びのために生まれてくるのではないかと思いました。
自然に抱かれる時、心の深い痛みが癒され、生きる力が蘇るような感じがします。

30数年間、体調が優れず、苦しいこと、悔しいこと、悲しいことがたくさんあったように思います。
南アルプスに登り、この大自然を自分の目で見ることが出来、これまで辛かったことが、まるで幻のようです。

静かな感動が命の底から湧き上がってきます。